呼吸と胸郭の動き

吸息位には胸郭の前後径+上下径+横径(左右径)が拡大します。この拡大が可能であるのは、1、肋椎関節の可動性 2、肋軟骨の弾性(ねじれ運動)3、僅かな胸椎後彎の強化、によるものです。

呼息の際には肋骨の下垂が起こり、それによって前後径および横径の左右系の狭小と胸椎後彎の僅かな減弱が起こります。

高齢になると、胸郭の運動性は肋軟骨における石灰沈着や骨化によって制限(低下)してきます。呼吸量に対しては胸郭の形は決定的なものではなく、最大呼息位と最大吸息位との差をもたらす呼吸の運動性によって決定されますので、可動性が減じれば呼吸運動に障害が及んできます。

胸郭運動の総合的な機能低下には軟骨だけではなく、肋椎関節に起こる障害も原因と成り得るもので、胸郭を動かす原動力は肋間筋と斜角筋が主に働きます。

斜角筋は安静時の吸息にもっとも大事な筋であるのは、斜角筋による第1~2肋骨の挙上によって胸郭の上部を挙上するからです。この作用は頸部を伸展させたときに増強されますし、肋骨を固定すれば頸椎を屈曲させます。

斜角筋の主作用は吸息筋とした働き、頸椎を動かす作用は従とされます。第1肋骨―胸骨柄、相互にはあまり動かない弧を作り、通常の静かな呼吸では胸椎に対してもごく僅かな上下動を行うのみです。

胸鎖乳突筋は頭を伸展し、頸を屈曲しまた対側に回すほかに、両側が働くと顎を胸につける運動を行います。高齢になり顎上がりの姿勢になると顎を胸につける運動をしなくなりますから、この筋力の低下が顕著になってきます。

by kappanochiro | 2015-07-26 07:47 | カイロプラクティック | Comments(0)  

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